デジタル時代の販促戦略:パルス型消費行動とは?
2024・05・21
パルス型消費行動とは
ある日、暇な時間にスマホでみていたブログや動画、SNSがきっかけで欲しいものを見つけたので、すぐにECサイトで買い物をした、といった経験はお持ちでしょうか?
「なんとなくスマホを触っていたら買いたい商品をみつけたので買い物をする」、こうした偶発的かつ急に行われるような消費行動をパルス型消費行動と呼びます。
パルス型消費行動は、従来の「事前に」「ある程度の時間をかけて」「買いたい気持ちを育成する」といったジャーニー型消費行動とは区別すべきもので、デジタル化が進んだ現代において注目すべき要素であるとして、2018年にGoogleから提唱されました。
※パルスとは
パルスという言葉は元々は、電気理論や電子工学で使われる科学分野の用語です。
やわらかく表現すると「とても短い時間に発生する波」です。
擬音で表現すれば「パッ…パッ…パッ…」のように繰り返し短いものが断続的に続いたり、「……パッ……」というように止まった中に短い一瞬だけ発生するものもパルスです。
現代の消費者が行う突発的な消費行動を、こうした「パルス」に例えています。
パルス型消費行動で重要な6つの直感センサー
従来の消費行動は「ジャーニー型」と呼ばれ、「あらかじめ〇〇に興味があって〇〇についての情報収集をしているような消費者やユーザー」が想定されていました。
購買につなげるためのマーケティングやプロモーションはそうした分析に基づいて行われるのが普通で、時間やいくつかのステップ・行程を通じて購買意欲を刺激するような施策となります。
パルス型消費行動では、「消費者が思わず共感したり反応したり気になってしまう情報発信」と「消費者がピンときたらすぐに迷わず購入できる仕組み」が重要となります。
Googleの小林伸一郎氏は、パルス型消費行動を理解する上で重要となる消費者が購入意欲を刺激されるポイントを「6つの直感センサー」とし、以下のように提言しています。
- セーフティ
「より安心安全なもの」に反応する直感センサー - フォーミー
「より自分にぴったりだと思うもの」に反応する直感センサー - コストセーブ
「お得なもの」に反応する直感センサー - フォロー
「売れているもの」や、「第三者が推奨するもの」に反応する直感センサー - アドベンチャー
「知らなかったもの」や「興味をそそるもの」に反応する直感センサー - パワーセーブ
「買い物の労力を減らせること」に反応する直感センサー
「買いたくなるを引き出すために-パルス消費を捉えるヒント」(参考・引用:2024-5-13)
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/articles/search/shoppersurvey2019-4/
これら6つの直感センサーはパルス型消費行動が起こる際に発生しやすい心理的な反応の類型で、商品やサービスを選ぶ基準に結びついています。
それぞれ、もう少し詳しく見ていきましょう。
1.セーフティ(より安全なもの)
インターネットで行う買い物の際、消費者は生産者や販売者の顔を直接見ることができません。
誰が販売しているのか見えない・見えにくい、という点は、商品・サービスを購入をする上で、不安要素の1つとなります。
この心理的センサーにより、消費者は安心・安全に買い物ができる有名な企業の商品や大手のECサイトでの購入を選択する傾向が強くなります。
2.フォーミー(より自分に合うもの)
パルス型消費行動の中には、多くの商品やECサイトの中から、「自分に合ったものを見つけたい」という直感センサーが存在します。
例えば、ブランドや価格ではなく、自分の体型や髪型に近いモデルから自分に似合いそうなものを選ぶ、といったケースが見られます。
最近よく見かける「パーソナルカラー診断」「骨格診断」などを根拠としたおすすめは、この「フォーミー」を意識したマーケティングの代表例と言えます。
3.コストセーブ(お得なもの)
消費者はできるだけお得に商品やサービスを購入したいと考えます。
例えば、ECサイトでは複数の商品が比較できるように掲載されていたり、価格順に並び替えをしたり、検索結果を指定することが可能です。
「その場で簡易的にかつ効率よく価格を比較し、お得に買い物をしたい」という欲求が、この直感センサーです。
ECサイトによっては価格の変動が短い期間に行われることもあります。
そうした仕組みを上手く活用し、値段が下がるまで購入を控える、といった行動もこの直感センサーの表れと言えます。
4.フォロー(売れているもの)
「既に購入した人が多く存在し、人気があり、参考にできる意見や口コミが多くある商品を購入したい」という直感センサーです。
口コミや比較サイト、ランキング、SNSなど、この直感センサーを刺激するための仕組みはパルス型消費行動を意識する上で非常に重要な要素です。
5.アドベンチャー(知らなかったもの、興味があるもの)
「新しい商品が出たら買いたい、面白そうなものなら買ってみたい」こうした心理が、この直感センサーです。
筆者はコンビニで新しいパンがあるとついつい買ってしまいます。ついつい新しいお菓子を買ってしまう、なども。
6.パワーセーブ(労力を減らせるもの)
「外出の労力や時間を省いて買い物をしたい」
「頻繁に購入する商品は定期購入で自動的に届くようにしたい」
「大きいものや重たいものはECサイトで買いたい」
こうした考えを表すのが、この直感センサーです。
最近では、外出せずに外食を宅配できるフードデリバリーや、ある程度の栄養バランスが整っていることをアピールした冷凍食品の定期購入サービスなどが、この直感センサーを上手くとらえたサービスの例といえます。
パルス型消費行動と衝動買い
ある情報をみた消費者に「買いたい」という欲求が急に起きる、そして「買う」。これがパルス型消費行動です。
「パルスは突発的、瞬間的に起こる」という点が特徴です。
一見、衝動買いと同じことのようにも思えます。2つの特徴を見比べてみましょう。
衝動買い
- 感情的
- 買うことが目的になっている
- ウィンドウショッピングが原因
- 高価なものや珍しいもの、趣味
- あとで後悔する(かもしれない)
パルス型消費行動
- 突発的
- SNSなど想定外の情報を元にしている
- 日常品など
- ピンときた
- 時間と場所を選ばないスマホ社会が大きな要因
- ある情報を見て直感的に購入に踏み切った
衝動買いは「買う」という行為自体が目的になってしまっていたり、感情的な行動のため、その商品やサービスを購入する理由があまりロジカルではないケースがほとんどです。また、購入するものの特徴として、非日常的で高価なものに対して行われたりすることも多いです。
パルス型消費行動は、例えばSNSなどでセールやキャンペーンの情報をキャッチしてすぐにスマホから注文・購入した、というようなケースのことです。購入した原因自体はキャッチした情報に基づいていて、日常品などの購入に多くみられます。
「買う」という行為よりも、「商品を見つける」という点が重要で、購入自体は少しあとになるケースもあります。
これはスマホやPCで「いつでも」「どこでも」「手軽に」商品の購入ができるため、買い物という行為の過程で、「買い物自体を楽しむ」といった体験が省略されるケースもあることが影響していると考えられます。これは、「買い物そのもの」にストレス発散だったり、楽しみといった体験を求めている衝動買いとは異なる点です。
パルス型消費行動が増えていく可能性
パルス型消費行動は、今後も増加が続く可能性が高いと考えられます。
- デジタル化の進展
ソーシャルメディアの普及で情報の拡散速度を加速し、オンラインショッピングの進化により購入障壁は低くなっています。消費者の購買行動はこうしたデジタル技術の変化に大きく影響を受けます。 - 新しいマーケティング技術
データ分析やAIを活用したターゲティング広告、パーソナライズドマーケティングなどの進化が、消費者の興味を瞬時に捉え、パルス型消費行動を促進することが考えられます。 - キャッシュレス決済の浸透
現金が手元になくとも、キャッシュレス決済で購入の意思決定を素早く行うことが可能となっています。
現代の買い物は「ECサイトによりいつでもアクセスし商品の購入が可能になったこと」「キャッシュレス決済の浸透で、ボタン1つで金銭のやりとりが生まれること」「モノと情報が溢れる現代において、1つ1つの商品を計画的に購入することは消費者にとっても労力のかかること」など、パルス型消費行動が増加する要因が多くあります。
また、デジタル化の進歩により、消費者にアプローチするためのマーケティングも多様化し、日常の様々なタイミングで購買意欲を刺激する機会が増えています。
新商品やキャンペーンをタイムリーに展開し、消費者の興味を引き続けることで、迅速な市場対応を行い、購買データや行動データを収集・分析、ソーシャルメディア上でのプレゼンスを強化することなどが重要となります。
まとめ
パルス型消費行動は、現代のデジタル社会においてますます重要なトレンドとなっています。
企業はこの現象を理解し、柔軟かつ迅速に対応することで、消費者の注目を集め、競争力を維持することができます。消費者としても、自身の購買行動がどのように影響されているかを意識し、賢明な消費選択を心がけることが求められます。
今後もパルス型消費行動に注目し、その動向を追い続けることが、マーケティング戦略の成功に繋がる鍵となるでしょう。企業と消費者が共にこのトレンドを理解し、共存することで、より豊かな市場環境が実現されることを願っています。
リアルのプロモーションはシステム化で効率UP
今回は主にスマホ・PC上で発生する新たな消費行動、パルス型消費についてご紹介しました。
しかし、こうした新たな消費者行動を意識した施策を打ちたくても、既存の店舗のキャンペーン、販促施策管理に手一杯で、情報収集や着手ができないという方も多いのではないでしょうか。
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投稿者プロフィール
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販売促進部です。
販促やマーケティング・ブランディングなどの様々な情報について、まとめ&発信を行っています。
「販促部門の頼れるパートナー」を目指して、お役立ち情報や販促ネタ、自社の最新TOPICSなどをつぶやいたりしています。
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