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記念日・季節行事の販促ポイントとは?想起よりも「選びやすさ」が成功の鍵

2025・12・26

記念日購買の背景にある生活者心理

― 「記念日」購買行動はどこからはじまる?

記念日や季節行事は、販促・プロモーションの領域でよく登場するキーワードです。
しかし、改めて生活者視点に立ち返り、自分自身の行動を振り返ってみると、「店舗や売場で記念日を訴求されてから、初めて意識し、思わず購入した」というケースは、それほど多くないのではないでしょうか?

それでも季節ごとに「記念日」「季節の行事」といったテーマで一定の購買行動が生まれていて、だからこそ、小売では記念日に合わせた販促やプロモーションを行っています。

この実態と感覚の違いはどこから生まれているのでしょうか?
本記事では生活者視点に立ち返り、「記念日・季節行事」を想起から行動に進める糸口を探っていきます。

記念日購買のトリガーは、売り場の外にあるのでは

記念日を意識した購買行動が起こるきっかけは、もしかすると店頭の販促や広告よりも、より生活の身近なところからはじまっているのではないでしょうか?

―子供の行動がきっかけになるケース

一例として、家庭内で子供の行動がきっかけになるケースを考察してみました。

幼稚園や小学校に通う子供たちの多くは、給食や工作、イベントなどで記念日や季節に触れたり、〇月〇日は何の日?と先生や同級生の子供になんとなく教わるなどして、少しずつ記念日・季節行事を「常識」や「習慣」として身に着けていきます。

例えば、節分の豆まき七夕まつりで短冊に願い事を書く、といった準備に手間のかかる伝統行事は、家庭よりも教育の場で体験した、という子供も増えてきているようです。

そして、子供というのは「覚えたての知識」を親に共有したくなるもの。
「今日こんなことを知ったよ、教わったよ」「もうすぐ〇〇の日なんだよ」と、ある記念日のことを子供が親と会話することで、家庭内でも行事が想起され、親もその行事を意識する。
そんなことが起きているのではないでしょうか。

教育の場で行事を学び

その話を家庭に持ち帰る

家庭内にも記念日が再び浮かび上がる。

こうして家庭内でも記念日や季節行事の存在が意識された状態で街へ出た結果、「記念日の販促」を目にし、購買行動に至る。
こうした流れは量や頻度こそ明確ではありませんが、記憶や実体験としては覚えがある方も多いのではないでしょうか?

そして、ここで重要なのは、行動を生んでいるのは、「知ったことを共有したい」という生活者(子供と親)のコミュニケーションであり、子供が直接購買を促しているわけではない点です。

記念日が行動に変わる瞬間の心理

特に小さな子供を持つ親世代が、記念日に具体的な行動を起こす瞬間の心理として

  • 子供の話に応えたい
  • せっかくなら知識だけでなく、体験させてあげたい

という日常のシーンが脳裏によぎっている可能性があります。

その結果として、例えばその日の買い物…スーパーやコンビニなどで、ちょっとした記念日に関する購買行動が起きたりします。

店舗で販促されている商品を見かけたとき、単に「そういえば今日は〇〇の日だった」と思い出しただけでは、行動までつながらないことも少なくありません。
一方で、先ほどのように「子供の話に応えたい」「体験にしてあげたい」といった気持ちが伴っていると、売り場の提案が“決め手”として機能しやすくなります。

つまり、販促の役割は記念日をゼロから想起させることだけではなく、すでに生まれている前向きな気持ちを、納得できる選択として購買に着地させることにあります。
売り場で「何を選べばいいか」「どれくらい用意すればいいか」がすぐ分かり、迷わず手に取れる状態が整っているほど、そのまま売上につながりやすくなります。

マーケティングの視点で言い換えると、「購買意図が生まれた瞬間」というよりも、生活者が“この行動を選んでよい”と納得できた、いわば「行動を正当化できた瞬間」とも言えるでしょう。

記念日購買を後押しするのは「他者との関係性」

子供の例はあくまで一例であり、記念日購買の本質は「記念日が“自分以外の誰かとの話題”として立ち上がったときに、行動の理由が生まれやすくなる」という点です。

同じような現象は、次のような日常シーンでも起こり得ます。

  • パートナーとの会話:「週末クリスマスどうする?」「母の日、何か渡す?」
  • 職場のやり取り:季節行事などを社内交流のきっかけとする文化
  • SNS・コンテンツをきっかけにした共有:見かけた投稿を誰かに送る/話題にする

いずれも共通しているのは、行動の出発点が「自分ひとりの意思決定」ではなく、誰かとの関係性の中で生まれた“行事に参加する理由”があることにあります。

販促・マーケにとっての本当の役割

改めて、記念日の販促とは?

  • 記念日を「思い出させる」ことよりも、
    すでに思い出した人が迷わず行動できる状態を作ること
  • 強いメッセージや過剰な説明よりも、
    「すぐ分かる」「すぐ選べる」「無理なく取り入れられる」こと

こうした設計を意識することで、結果的に購買行動に繋がる可能性がぐっと上がります。

社内・営業視点では「記念日をどう思い出させるか、どう意識させるか、どう訴求するべきか」が注目されやすいポイントです。

しかし実際には
「どうやって記念日を意識させるか」ではなく
「生活者は、誰と、どんなシーンで記念日を思い出しているか?」
に焦点を置くべきと言えるでしょう。

改めて生活者視点に立って周囲にヒアリングを行ったり、実際のユーザーや生活者から意見や情報を集めて、記念日が意識されるきっかけや実態を把握することも重要です。

売り場や提案は、無理に行動の起点になる必要はなく、どれだけスムーズに行動に向けた案内ができるか。
そこに記念日の販促を成功させるポイントがあります。

まとめ

記念日は、企業が作るきっかけだけではなく、生活者同士の話題や行動の中で、「参加する理由(=購買理由)」が浮かび上がってきます。

販促やマーケティングの役割は、その流れを加速させることではなく、邪魔をせずに選びやすく整えることが重要です。

記念日をどう売るかではなく、記念日が話題になった後、どう寄り添うか。その視点が、記念日や季節行事プロモーションのポイントとなるでしょう。

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